| 「 | おい、クラクション!」 |
| 「 | え?」 |
| 「 | クラクションで分からなけりゃ、警笛だ!」 |
| 「 | え? え?」 |
| 「 | たく、しょうがねぇなぁ。この野郎!」 |
| ビーーー!ビビビ、ビーー!! | |
| 「 | ふわ〜〜、びっくりした。左にいた車はいきなり道を塞ぎそうになるし、先輩はいきなり目の前に手を出してきて、クラクションを鳴らすし。もう脅かさないでくださいよ」 |
| 「 | てめぇがさっさとクラクションを鳴らさねぇからだろ。いいか、今みたいに既に目の前の信号が青に変わってるからってだな、安心しちゃぁいけねぇ。そりゃね、横の信号を見ながらそろそろ青に変わるだろうって突っ込む『見こみ』とか『だろう』とは違って、既に青に変わってるんだからいいだろうっていう気になるってのは分かるよ。だけどね、この道は怖いんだよ」 |
| 「 | 今の左にいた車のことですか?」 |
| 「 | この道を走り慣れてる奴だって、たまにはぼんやりしてることもあるしな。なんか考えごとをしてたとか、今はいけねぇことになってるったって電話掛けてる奴だっているわけだ。このセパレート信号で右折しようって時は、右折の矢印が出るまではじっとしてなきゃぁいけねぇんだが、横にいる直進車が動き出すと引きづられて動き出す奴がよくいるんだよ。で、動き出せば当然頭を右に振るわけだな。ところが右側には直進車線があるときてるから、その車線を塞いじまうことになる。で、どっかーんだな。 この辺に住んでて、この道を走り慣れてる奴だってたまにはそういったことをするんだからね。セパレート信号なんか無いような他所から来た奴だったら、矢印の意味も知らずに直進車につられて動き出す奴がいてもおかしくはねぇだろうな」 |
| 「 | しかし、どうして右折車が前を塞ぎそうだって分かったんですか」 |
| 「 | 一度、怖い思いをすりゃぁ用心するようになるさ。左折の矢印が消えて左にいた直進車がずるずるっと動き出しただろ? そん時に右折帯にいたあの車のストップランプが消えたのに気が付かなかったかい? もっともね、最近みたいにみんなオートマに乗るようになってくるってぇとストップランプが点いててもずるずるっと動き出す奴がいるんで要注意だがね」 |
| 「 | だけど、あんなにけたたましくクラクションを鳴らすことは無いんじゃないんですか?」 |
| 「 | う〜ん、そこなんだけどね。普通なら、『ビッ』て鳴らす程度で、大抵は気が付くし、はっとして停まるだろ?ところがこの辺の連中は鈍いのかねぇ。それともクラクションをちょっと鳴らされたくらいでは動じねぇってのか、そんくらいのこっちゃぁ効かねぇんだよ。やっぱりね、どけどけ〜!って位の勢いで鳴らさねぇとな」 |
| 「 | でも、今まであんな風に派手にクラクションを鳴らしたことがないもんで・・・」 |
| 「 | 年がら年中って訳じゃねぇが、たまにはあんな風に鳴らさなきゃならない時もあるんだから練習しときなよ。現に俺の車なんか、めったに鳴らさなかったもんで、いざって時になったらホーンボタンの接点がおかしくなったらしくって、鳴らなかったなんてこともあったしな。 大体あぁいった連中は鳴らされる事に慣れちゃってるんだろうな。つまりだな、自分がとんでもないことをして、クラクションを鳴らされてても、それは鳴らしたほうが悪いんだ位にしか考えてねぇんだよ。いつも自分が悪い事をして鳴らされてるもんだから、ちょっと鳴らされたくらいじゃぁ自分が悪いなんて思わねぇようになっちまうんだな。そのうちに鳴らされることに慣れて麻痺しちまうってこった。 そんなにしょっちゅう鳴らされることの無い奴だと逆に自分がならされてるなんて思いもしないなんてこともあるだろうしな。え?何かあったのって感じでね、キョロキョロしてる奴もいるよ。こういった連中には間違ってるぞって事をハッキリ教えてやんなきゃぁならねぇからちょっと派手に鳴らしてやるって訳だ。 バスレーンの走り方はこれで大方分かっただろうから、第二車線に戻んなよ。で、最後に右折の練習をしとこうか」 |
00/06/06