| 「 | 後は、やっぱ走りながら覚えんのが一番だろうな。とりあえず、このまま第二車線を走ってけよ。で、脇見運転にならねぇ程度にバスレーンの様子も確認してさ。 様子が飲み込めたら自分でもバスレーンを走って見りゃぁいいさ。ただし、今は『バス専用レーン』じゃぁねぇんだが、あくまでも『バス優先レーン』だってこたぁ頭に置いとけよ」 |
| 「 | それって、どう違うんですか?」 |
| 「 | 専用の場合は、絶対にバスレーンに入っちゃぁならねぇってこった。優先の場合、後ろからバスが来てたりして、邪魔になりそうだなと思った時にゃぁそこから出なきゃならねぇって訳だな。 例えば目の前にバス停のある信号があって、そのまま行くと赤信号になってバス停にバスが停まれねぇなんてな時にゃ出て、バスに道を譲んなきゃぁならねぇってこった。 あとは、そうだなぁ。めったにないことだが、自分のほうがバスより遅くて追いつかれてしまったなんて時にゃぁ譲んなきゃならねぇってことかね。ま、しかし、これはバス優先に限らずどこでもおんなじだがね」 |
| 「 | あぁ、成る程ぉ」 |
| 「 | 真中にバスレーンを持って来たってのもそれなりに理由があるからさ。本来バス専用レーンの場合、絶対に入っちゃぁいけねぇってのに、第一車線にあるバスレーンでは次の交差点で左折するって場合には入らざるを得ねぇ。例えばバス専用レーンを走ってる車を警察が捕まえたって、次で、左折するために左に寄ったんだと言い訳をされりゃぁ、開放するっきゃねぇだろ? で、そんな言い訳をさせないぞってぇわけだ」 |
| 「 | いろいろ考えてるんですねぇ。 さっきから走りながら見てたんですが、バスレーンって交差点の中ですごく蛇行してるんですね。危なくないんですか?」 |
| 「 | そこが問題なんだよ。この通りの一番危険なとこはそこなんだな。 第一車線が左折だろ? 第二車線が直進な訳だ。所がこの第二車線から右折車線が分かれるから右折車線が第三車線になるってぇと、それまで、第三車線だったバスレーンは第四車線になる訳だ。それが交差点の先ではまた第三車線に戻るんだからな。おまけに交差点の先じゃぁ対抗車線に右折車線を増やした分だけ狭くなってるから、そのまんままっつぐいきゃぁ対抗車線に入っちまうだろ?で、交差点の中で蛇行するようになっちまうんだよ。 ここなんかまだいいよ。バス停があるとこじゃぁ、その分更に右へ寄るからなぁ。交差点の中の蛇行はもっと極端になるよ。」 |
| 「 | それでよく事故が起きませんねぇ」 |
| 「 | 飛んでも八分、歩いて十分だ。今でこそいろんな対策をしてるから少しは減ったがね、それでも事故は結構あんだよ。 対抗車線のバスレーンをよく見てみなよ。色が違うだろ。前はおんなじ色だったから、うっかりした奴が結構そのまんままっつぐ対向車線に突っ込んでって正面衝突事故を起こしたもんだよ。中には中央分離帯の手前にある虎模様のジャンプ台を使って対向車の上に飛びあがったりしてね。そりゃぁ、悲惨なもんだ」 |
| 「 | こんなとこは走りたくないですね。とは言ってもお客さんから指定されれば走らなければならなくなることもあるんでしょうねぇ」 |
| 「 | ん〜、ま、タクシー会社によってはこのバスレーンを走行してはならんなんて指示を出してるとこもあるみてぇだが、やっぱ最終的にゃお客さんの希望を無視するわけにもいかねぇてんで、走らざるを得ねぇんだろうなぁ」 |
| 「 | もうひとつ怖いなぁって思ったのは、第二車線を走ってて交差点を通過したとこで、蛇行してきた第三車線の車がすぐ脇に突っ込んでくるような感じがあるでしょ? あれも、一瞬身構えちゃいますよね」 |
| 「 | いや、実際にへたくそがぶつかってくるこたぁあんだよ。それに曲がりきれなくって、突然目の前に割り込んで来たりしてね。それと今は昼間だからまだいいんだが、夜になるってぇと蛇行してきた車のライトに自分が照らし出されたり、しかもすぐ脇に相手の車のヘッドライトが迫って来たりしてさ、思わず体を硬くしたりするなんてこたぁ結構多いよ」 |
00/04/14