あたしらの商売では、何も好き好んで急ブレーキを掛ける訳ではねぇんだが、やむを得ず急ブレーキになる場合もある。とくにあたしなんか、車間距離が広いもんだから、急ブレーキを掛けることは他の自動車からすりゃぁ、多いかも知れねぇな。そうは言っても、タイヤを鳴らすわけではねぇし、黒いマークが付く訳でもねぇんだが余り気分のいいもんじゃぁねぇ。
99/11/04
若い女のこが、荷物を持って乗ってきたんだが、その荷物の持ち方は大事なものをささげ持つってぇ感じだったんだね。行き先を聞いて走り出したんだが、半分も行かねぇうちに、目の前に割り込んできた奴が居たんで泡食ってブレーキを掛けたんだが、そん時、後ろでなんかが落ちた音がしたんでね、「だいじょぶでしたか?」って聞きながら後ろを見たらね、荷物が床に逆さになって落ちてんだよ。
「そのお荷物は何なんですかい?」っつったらね、デコレーションケーキだってんだ。
幸いこの人の場合、名古屋の人にしては良く出来た人でね、文句も言わなきゃぁ弁償しろとも言われなくって助かったんだが、後ろの荷物にまで責任は持てねぇんだから、しっかり支えておいて欲しかったねぇ。
99/11/04
スーパーストアで買い物をした帰りのおばさんを乗したときのこった。走り出してしばらくしたら、前の信号が赤になってね、そんな急ブレーキを掛けたつもりはなかったんだが、荷物が床に落ちたんだよ。乗って来る時にも、なんか重そうだなって思っては居たんだがね。後ろのおばさんは落ちたもんを一所懸命拾ってたんだが、青になって走り出すってぇと、なんかがごろごろ言ってやがる。
なんのこたぁねぇ。果物を袋一杯に買ってきた奴を手で押さえずに只座席に置いといたらしいんだ。幸い全部拾ったってんでね安心したんだが、空き缶と同じでブレーキペダルに噛みこんだら、それこそ心中だよ。
99/11/04
後席の床に立ってその鼻がヘッドレストにあたる身長ってのは何歳くらいだろうか。
あたしはね、母親が子供を連れて乗ってきた場合、その子供がちゃんと背中を椅子の背もたれにぴったりつけて座らない限り発進しないことにしてるんだよ。そうしない時は、口でそう言って、そうするまで待ってから発進することにしてるんだが、走り出した後、子供が立ち上がっても知らん顔の親のなんと多いことか。
或る時、親子連れを乗せたんだが、発進する前に子供をきちんと座らせたのに、次の赤信号のときに極普通にブレーキを掛けたにも拘わらず子供が文句を言い始めた。子供がだよ!
「なんで急に停まんのよ。鼻をぶつけちゃったじゃないの。怪我したらどうすんのさ」
思わず母親の顔を見ちゃったよ。『子は親の鏡』ってね。この奥さん、外面はよさそうなんだが、家ん中では結構きついんだろうなぁ。とかね、旦那も大変だなぁとか。
99/11/04
思わぬところで目の保養をしたってぇ話だ。夏の暑い時期ってのは着るものも少ないし、薄いし、短いし、ってぇ良いことずくめなんだが、かといって普段は丸見えってぇ訳でもねぇ。
ゆったりしたノースリーブのワンピースを着た女の子を乗せたんだが、信号でブレーキを掛けた。とたんに後で「きゃぁっ」
思わず、後を振り返ったら座席には服だけが・・・・ って、これは嘘。
座席と服との摩擦は大きいから服は動かねぇんだが、服と、その中身は摩擦が少なかったんだね。服はそのまま座席にくっついてるんだが、その中身が滑って床に落ちそうになってる。頭はかろうじて服の上に見えるんだが、ワンピースの下に下半身丸出しの女の子が居た。念のために言っとくが、ちゃんとパンツは履いてたよ。